睡眠時無呼吸症候群の最新治療方法と言われているのが「ナステント」です。実際にどのような治療を行うのか、その内容と治療の流れについてご紹介しています。
鼻から長いチューブを挿入する器具
ナステントとは、鼻から挿入するチューブ状の医療機器で、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズという日本の企業が販売しています。
睡眠前に、シリコン樹脂製の柔らかいチューブを鼻から挿入し、いびきや無呼吸症候群の原因となる鼻やのどの気道閉塞を防いでくれるナステント。CPAPといった既存の治療法に比べて手軽に使用できると、注目を集めています。
「鼻から入れて痛くないの?」と思ってしまいますが、チューブは人肌に近い硬度5~20程度の固さで、先端が丸く加工されています。また、ハイドロジェルという限りなく水に近い潤滑油が使われているので、腔内への負担は最小限に抑えられているそう。ほとんどの人が違和感なく使用しているようです。
初めてナステントを使うときは、適した硬さや長さを調べるためのフィッティングを行います。 このフィッティングは、全国の医療機関・薬局・家電量販店などで行うことができます。
そこで適切なサイズを計ってから実際の商品を購入するのですが、店舗購入以外にも、2回目以降はナステントの公式HPで注文することができます。 フィッティングで調査するのは、主にチューブの硬さと長さ、そしてチューブを入れる鼻の選定です。
着け心地が良く、痛みや違和感がないものを選びましょう。ナステントは片方の鼻にのみ挿入しますが、チューブを入れる鼻は、より広い方(より呼吸しやすい方)を選びます。それぞれの鼻をふさいで呼吸し、楽に呼吸ができる方の穴にチューブを挿入します。
フィッティングをして実物が手に入ったら、早速、睡眠前に使用してみましょう。
ナステントを鼻に入れるときは、チューブの穴を上に向け、水平方向にゆっくりと挿入しましょう。このとき、鼻腔の構造をイメージしながら進めると、スムーズに挿入することができます。 やはり初めて入れるときは抵抗を感じますが、コンタクトレンズと一緒で、数回も使用していると慣れてくるはずです。
チューブの逆側についているノーズクリッパーを、挿入した反対側の穴に引っ掛けてナステントを固定します。また、口の中を鏡などで見て、軟口蓋(のどちんこ)付近からチューブの先端が見えているか確認してください。
装着後はそのまま就寝してください。起床したらナステントを慎重に取り外し、廃棄してください。(ナステントは1回使い切りです)
ナステントは一般医療機器ですので、医療機関以外でも、薬局や家電量販店・ナステントの公式HPなどで手に入れることができます。ただし、初回使用時はフィッティングをして、自分の鼻腔に合ったサイズを選ばなくてはいけません。
フィッティングができる施設はナステントの公式HPで紹介されているので、使用を検討されている方はチェックしてみてください。
睡眠時無呼吸症候群の新しい治療方法であるナステントを、CPAP・マウスピース治療・外科手術などの治療法と比較しています。
無呼吸症候群治療の主流であるCPAPよりも、不快感・身体的負担はごく軽微で済みます。
CPAPは就寝時に鼻マスクを装着し、空気圧やエアチューブを調整する必要がありますが、ナステントは鼻から挿入するだけなので、非常に手軽です。
外科手術と比べても、薬品やメスを使わないため痛みや副作用がありません。
CPAPよりも手ごろな治療と考えられているマウスピース治療ですが、治療対象は限定されてきます。実歯が20本以下の人、歯周病・顎関節症・鼻づまりの症状がある人は治療を受けることができません。中高年世代には、こうした条件が原因でマウスピースを使用できない方が多くいらっしゃいます。
また、マウスピース治療では、下顎を前方へ移動させる力が足りていないと、無呼吸症候群の軽減効果が満足に得られないこともあります。
ナステントはそうした制限が少ないので、多くの人が使用できる治療法です。
CPAPには無呼吸症候群の改善効果はありますが、睡眠の質を高めるわけではありません。反対に、プラスチック製の鼻マスクやヘッドギアを装着しての睡眠を不快に思う人も多く、利用者の半数が途中で治療を断念してしまうそうです。
その点、ナステントは睡眠の邪魔にならず、快眠効果を高めるとされています。使用用途の中にも、無呼吸症候群の症状緩和以外に、いびき・花粉症・疲労時の睡眠不足などに効果的とされており、無呼吸症候群患者以外の使用も推奨されています。
他の治療方法では、無呼吸症候群の症状がよくなっても、日中の倦怠感や眠気が改善しないという方も多いそうですが、これは睡眠の質が低いことが原因です。ナステントは呼吸の正常化とともに、睡眠の質向上にも役立ってくれます。
これまで「無呼吸症候群治療は、自宅で行えても外出先では使用できない」という意見が多くありました。CPAPなどは持ち運びが難しく、旅先で使用すると他の人の目も気になります。
携行性にすぐれたナステントなら持ち運びも簡単ですし、宿泊施設だけでなく飛行機の中でも使えます。さらに装着してもあまり目立たないので、周囲の視線も気になりません。パートナーにいびきを指摘された女性が使用するケースもあるそうです。
日中の眠気が軽減した、いびきや無呼吸が減ったなど想像以上の治療効果に喜ぶ声を聞いてみてください。