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このページでは、いびきの仕組みを調べています。
吸い込む空気が狭くなった気道の粘膜や付着物をふるわせて、大きな音が出るのです。
これは、ビル風にたとえられることがあるようです。ビル風は突然風の通り道が狭くなることで、風が強くなります。そして、ビルの間に垂れ幕などがあったとき、それがビル風の強風にあおられて激しくはためき、音を立てます。このような状態が、喉の内部で起こっています。
口から、思いっきり空気を吸い込んでみると、いびきの状態を体験できるかもしれません(せき込んでしまう場合があるので、十分注意した上でお試しください)。吸い込む途中で、喉がつかえるような感触とともに、いびきに近い音が喉から出てくるのがわかります。
体内の空気が通る道のうち鼻~鼻腔、鼻咽腔、咽頭、喉頭までを指す「上気道」が、何らかの原因で塞がっていることで、いびきが発生します。
吸い込む空気が狭くなった気道の粘膜や付着物をふるわせて、大きな音が出るのです。
上気道を狭くする原因には、以下のようなものがあります。
太っている人ほどいびきをかきやすいのは経験的にご存じかと思います。
これは、首周りの脂肪が、睡眠中に気道を圧迫してしまうためです。
舌の根元(舌根)だけでなく、口の中の柔らかい部分(軟口蓋)やのどちんこ(口蓋垂)が、睡眠中による筋肉の緩みで落ちてくることで、気道を狭くしています。
表情筋とよばれる顔周りの筋肉量が少ない人のほか、加齢による筋力低下を原因に、重力に負けて舌根沈下が起こります。
舌根沈下は、横を向いて眠れば、とりあえず防ぐことが可能です。
前述の舌根沈下は誰にでも起こることですが、それでもいびきをかく人とかかない人がいるのは、喉(咽頭部)が狭くなっているせいで、その上で舌の根元が落ちてくることで気道を狭くしているためです。
喉を狭くする主な原因と骨格的な特徴(下あごが小さい、小顔など)と、喉の腫れです。
風邪などによる喉の腫れも原因の一つです。また、口呼吸が習慣化していると乾燥した空気を常に吸い込んでいるので、慢性的に腫れ(扁桃肥大)を起こしています。
上記のように、仰向けになったとき上気道を阻害する要因があると、いびきの発生率は高まります。
先天的な要因もありますが、肥満のように後天的な要因からいびきが深刻化することもありますので、誰でも注意は必要です。
いびきの種類として、通常のいびきが続いた後に10秒程度の沈黙があり、その後突然に音の大きないびきが噴出するような特徴を持ったいびきがあります。
このようないびきは「睡眠時無呼吸症候群」の典型例。沈黙している間は、なんと呼吸が止まっている状態なのです。怖いですよね…?
仕組みとしては本ページの上部で紹介した内容と同じく、舌根などの器官により上気道が塞がれてしまった状態なのですが、高い頻度で呼吸停止を繰り返すほど、症状は深刻化しています。
睡眠時無呼吸症候群は熟睡を妨げるだけでなく、酸素不足を血圧上昇で補おうとする人体の働きにより、生活習慣病リスクを増大させます。また、高炭酸ガス血症、低酸素脳症は認知症のリスクも増大させます。
「たかが、いびき」と放置せず、きちんと改善に取り組んでいく必要がありそうです。