このページでは、睡眠サイクルについて説明します。
いくら寝ても体が重く感じたり、休まった気がしない人はもしかしたら睡眠サイクルが狂っている可能性があります。
睡眠にはノンレム睡眠と、レム睡眠という2つのサイクルが存在しています。
まず眠りに入ると、ノンレム睡眠(深い睡眠)の状態になります。
ノンレム睡眠は、脳を休ませてくれたり、成長ホルモンを分泌させて、体の成長や細胞の修復などを行ってくれます。
このノンレム睡眠が約10分続いた後に、レム睡眠が訪れます。レム睡眠は、眠ってはいるけれど脳が起きている状態のことで1日の記憶を整理する役割があります。レム睡眠が約80分続いたらまたノンレム睡眠が始まります。
このようにノンレム睡眠とレム睡眠が90分間を1セットとして、一定のサイクルで繰り返されます。
この90分のサイクルを利用すると、4.5時間、6時間、7,5時間が最もスッキリ起きられる理想の睡眠時間なのです。
この質のいい理想の睡眠を得るためには、まず自分の理想の睡眠時間を知る必要があります。
そのために毎日の就寝時間を決めます。寝る前にアルコールを摂取するのも、浅い眠りしか取れなくなるのでやめましょう。
寝る前に携帯やパソコンを遅くまでいじってしまうと、寝つきが悪くなる原因になってしまいますので極力控えましょう。
この生活リズムを覚えた後は、睡眠サイクルを利用して、自分が何時間寝れば気持ち良く起きられるのかを実験します。
気持ち良く起きられる睡眠時間を体感したら、それが理想の睡眠時間です。
どれだけたくさん寝ても、ノンレム・レム睡眠が足りないと寝不足になってしまいます。もし睡眠サイクルを利用してもスッキリ起きられない場合は、もしかしたら睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害の可能性があります。
あまりに寝れなかったり、イビキが指摘されるようでしたら、睡眠障害を疑ってみたほうが良さそうです。
よく「睡眠の質」と言われますが、睡眠の良し悪しはなかなか分かりにくいものです。一般的に、睡眠の質は「睡眠時間×眠りの深さ(質)」で判断されます。どちらかが欠けても、良質な睡眠は得られないのです。
簡単にできる判断としては、朝起きた時に熟睡感があるかどうか。上質な睡眠がとれるとスッキリと目が覚め、心身の活力がみなぎってくるのが分かります。
では、質の高い睡眠を促すにはどうしたらいいのでしょうか?これにはまず、睡眠が本来持っている役割・働きを知る必要があります。
睡眠には、日中の仕事や勉強で蓄積した疲労を取り除く働きがあります。熟睡することで大脳は休息し、その機能を調整。再び、正常な指令を全身に送るようになります。
睡眠が不足したり質が悪いと、大脳は疲労を解消できずさまざまなトラブルが発生。集中力の低下・頭痛・倦怠感・感情のコントロール不全など、さまざまな症状に見舞われることがあります。
生活の中で、人は知らず知らずのうちに多くのストレスを受けています。その精神的疲労を、睡眠はリセットしてくれるのです。
睡眠時に脳でつくられる睡眠物質は、神経細胞から発生する活性酸素を分解・除去。神経細胞の機能を回復させ、ストレスに強い身体づくりを促します。
睡眠時に分泌されるホルモンは多数ありますが、代表的なものは成長ホルモン。成長ホルモンには細胞を修復・再生する働きがあり、肌の再生・骨形成・筋力のアップ・新陳代謝の促進などに大きく関与しています。
成長ホルモンは、子供だけでなく大人にとっても重要なホルモン。不足すると体内に老廃物が蓄積し、疲労・老化・免疫力の低下など、さまざまなトラブルが発生します。
睡眠には、免疫力をアップさせる働きもあります。睡眠時に副交感神経が優位になるとリンパ球が増え、細菌やウイルスに対する抵抗力がアップ。
無呼吸症候群などで交感神経が興奮しているとこの働きが期待できなくなるため、風邪や病気にかかりやすくなってしまいます。
副交感神経とは自律神経の1つであり、リラックスした状態のときに優位となるもの。対して交感神経は緊張している状態のときに優位となるものです。
睡眠の質を高めるには、交感神経から副交感神経への切り替わりが大切。これがきちんと切り替わらないと熟睡できず、深い眠りを得ることができなくなります。眠っているつもりなのに熟睡感がない…というのは、睡眠時に交感神経が働いてしまっている証拠。
無呼吸症候群・歯ぎしり・骨格の歪みによる緊張などがあると心身はリラックスできないため、起床時に疲労や頭痛を訴えることが多くなります。まずは根本的な原因を突きとめ、改善・治療を進めることが大切です。
睡眠の種類は3つのタイプに分類されます。この種類は自分の睡眠時間で決まります。
日本人の平均時間は7時間30分と言われていますが、理想の睡眠平均時間は、実は個人によって異なります。
4時間程眠れば大丈夫な人もいれば、10時間以上眠らなければままならない人もいます。
その3つのタイプは、睡眠時間が短いショートスリーパー、睡眠時間が長いロングスリーパー、その中間のバリュアブルスリーパーに分けられます。
睡眠時間が6時間未満でスッキリする人は、ショートスリーパーに分類されます。
昨今は短眠が注目され、「できる人は超短眠!」など書籍でショートスリーパーについて触れるものも多くなりました。エジソンやナポレオンはじめ、日本人では明石家さんまなど、3時間未満の睡眠で疲れが取れるとされています。
早坂真由美「1週間で良質な眠りを手に入れる快眠力メソッド 眠りの悩み別に体質改善ができる!実践型7WORK」によると、6時間未満の睡眠で疲れが取れるショートスリーパーは、全人口の5~10パーセントだそうです。
ロングスリーパー(間睡眠者)の定義は、9時間以上睡眠を行わないと満足ができない人のことをいいます。
ショートスリーパー同様、人口比率としては5~10%程度。
自身がロングスリーパーであることを悩んでいる人も多く、生活習慣を変えることで、睡眠時間を短くすることもできるようです。ロングスリーパー体質から抜け出すには、睡眠の質を上げることが改善のカギです。
睡眠時間が6~9時間くらいでスッキリする人はバリュアブルスリーパーです。
人口比率80パーセントと、大多数の人はこのタイプと言えるでしょう。
一般的な平均睡眠時間が7時間とされているのは、バリュアブルスリーパー層にいる多くの人がスッキリ目覚められる睡眠時間であるからだといえます。つまり、体質によっては、7時間という睡眠時間が長すぎる、または短すぎる可能性があります。
睡眠不足でお悩みの人は、もしかしたら睡眠時間が自分に合っていなかったのかもしれません。これを機に睡眠時間を改めてみるのも良いかもしれません。
多くの人に経験があると思いますが、睡眠中の頭の位置や角度が不適切だと、寝違えや肩こり、首のこり、頭痛などを発症することがあります。顔のむくみや首のしわなど、美容上の問題もよく見られます。
枕選びを誤ると睡眠が浅くなるだけでなく、その他にも様々な弊害が生じることがあります。
こうした問題を回避し、安心してゆっくりと眠るためには、やはり適切な枕選びが大切なのです。
質の良い睡眠を得るための枕選びには、次の5つのポイントがあります。
人は直立したときに、少しだけ首を前に傾けています。この首の傾きを睡眠中にも維持できるのが理想です。
一般的に男性の場合は、高さ4cmの枕に頭を置くと、直立のときとほぼ同じ首の傾きが維持されると言われています。女性の場合は3cmです。
ただし、厳格に傾きや高さを測る必要はありません。大体の目安を把握したうえで、あとは自分がもっとも楽に感じられる高さの枕を選ぶと良いでしょう。
枕に頭を乗せたときに、顎が不自然に上がってしまう、または下がってしまうといった感覚を得た場合は、枕の高さが合っていない可能性があります。
自分の好みの素材を選ぶことが大切です。素材そのものが睡眠に影響するわけではありません。その素材が自分のテイストに合うかどうか、だけの問題です。
頭には、嗅覚(鼻)や聴覚(耳)、触覚(皮膚)などの感覚系統が集中しています。枕から、好みではない臭いや音、感触などが伝わると、寝つきが悪くなったり、睡眠が浅くなったりする可能性があるため、自分好みの素材を選ぶことはとても重要です。
低反発素材、羽根素材、パイプ素材など、素材には様々なものがあります。あるいは、固い枕、柔らかい枕などといった分類も大事です。
睡眠中の無意識の動きに対応できるよう、枕の形も大事です。一般的に見られる筒状の枕だけではなく、近年は、真ん中がくぼんでいるドーナツ型や、首もとを流線形で支えるウェーブ型、抱き枕型など、様々な形状のものがあります。
睡眠中は、人によって様々な動きをしています。一晩で寝返りも20~30回ほど打つとも言われています。これらの動きに柔軟に対応できる形の枕を選ぶことが大切です。
枕の形に関連しますが、枕の大きさも大切な要素です。睡眠中によく動いてしまう人は、ダブルサイズの枕が良いかもしれません。逆に、睡眠中にはほとんど動いていないと指摘されている人は、小さめの枕でも良いでしょう。
寝返りや移動など、人によって睡眠中の動きのクセは様々です。パートナーなどに指摘されている、あなたの睡眠中の動きに合わせた枕を選ぶようにしましょう。
春と秋は同じ枕を使っても良いかも知れませんが、夏と冬の枕については、季節に合わせたものを使用したほうがベターです。夏は涼しげな枕を、冬は暖かめの枕を、ということです。
特に、夏の枕は特別に用意したほうが良いでしょう。なぜなら、頭部は熱の影響を受けやすい組織だからです。冬と同じ枕を夏にも使用すると、頭部がほてり、かつ汗で湿気を帯び、良質の睡眠を得られない可能性があります。場合によっては、起床時に体調を崩してしまうこともあります。夏には通気性の良い枕を使用するようにしましょう。
毎日の睡眠にちょっとした工夫を加えることで、快適な眠りを手に入れることが可能です。ぐっすり眠ってスッキリ目を覚ますには、まず環境づくりが大切ですよ。
就寝前には、強い光を浴びないようにすることが大切。テレビ・携帯電話・パソコンのモニターなどから発せられる光は睡眠ホルモンの分泌を抑制し、脳と身体を覚醒させてしまいます。
寝る前は部屋を暗めにし、明かりが欲しい場合は間接照明を用いるようにしましょう。カーテンは遮光タイプのものにし、陽の光ができるだけ入らないようにすると◎。
部屋の温度は、高くても低くてもNG。質のよい睡眠を得るためには、室温と湿度を快適に保つ必要があります。夏場の快眠温度は25~28℃、冬は18~23℃。湿度は、一年を通して50~60%に調整するとよいでしょう。
室温の調整はエアコンを使うのが手軽ですが、タイマーを使用する場合は就寝の2~3時間後まで快眠温度を保つようにセットしましょう。
質の良い睡眠を得るためには、起きているうちに少しずつ眠るための準備を進める必要があります。早いうちにふとんを敷くなど、眠る準備をするということではなく、覚醒した脳のスイッチを少しずつ切り替えていくことをいいます。起きているときに優位に働いている交感神経から、睡眠時やリラックス時にはたらく副交感神経を優位にする方法を紹介します。
ぬるめのお湯にじっくりつかると、体表面の血行が促進され深部体温(身体の中心部の体温)が放散。徐々に深部体温が下がり、眠りやすい状態が整います。お湯の温度は40℃前後、時間は30分程度が適当です。
ゆっくりお風呂に入ると心身がリラックスし、副交感神経を優位にしやすくなりますよ。
軽い散歩や有酸素運動は、睡眠の質を高めるのに有効です。人は深部体温が下がると眠くなるため、軽い運動で体表面の血行を促進し、深部体温の放散を促すと◎。これには、人と会話ができる程度のジョギング・早足での散歩など、軽く汗をかくくらいの有酸素運動が最適です。
運動は適度な疲労感をもたらしストレス解消にも役立つため、週に2~3回の割合でムリなく続けるとよいでしょう。
就寝前の飲食は不眠の原因となります。夕食は就寝の2~3時間前に終わらせ、腹八分目を心がけましょう。胃の中に食物がある状態で眠ると、睡眠と同時に消化活動が行われるため、身体は十分に休息できないのです。
また、覚醒作用のあるカフェインの摂取もNG。寝る前には、気分を落ち着けるハーブティーなどがおすすめです。
睡眠薬は、病院やクリニックで処方してくれるし、安全だから毎日飲んでも大丈夫と思うかもしれませんが、薬によっては様々な危険性をはらんでいます。
そもそも睡眠薬は、不眠や浅い眠りで悩んでいる時に効果を発揮するもの。その手軽さから、「最近、少し眠りが浅いかな?」といったレベルでも、簡単に服用できてしまいます。ですが、むやみに多用すると体に思いもよらない影響を与える可能性も。
睡眠薬がなぜ入眠をスムーズに誘うのかというと、強制的に脳の中枢神経に対して抑制の信号を送り、無理やり脳を眠らせているのですから恐ろしいです。
この感覚に慣れてしまうと、習慣的に薬がないと眠れなくなる依存症も発生してしまいかねないので、睡眠薬の乱用は非常に危険なのです。
睡眠薬の中で、不眠症対策として最もポピュラーなのがハルシオンです。
ハルシオンは麻酔としても有名ですが、病院で不眠症と診断されると処方される場合が多いようです。
服用すると症状を緩和させ、不眠を解消したりする効果がありますが、この効果は実は一時的なもので、根本的な治療にはなりません。
ハルシオンにはおそろしい副作用もあり、攻撃的な性格になったり、幻覚や妄想を見たり夢遊病にもなるケースも報告されています。
それだけではなく、呼吸器にも異常を与え、呼吸がしづらくなるので睡眠時無呼吸症候群に発症する危険性があります。
依存性も確認されており、海外では処方禁止になっているところもあるようです。
結局のところ、睡眠薬は思い込みという意味のプラセボ効果が大きく、医者がこれを飲めば治る、という言葉だけで強い効果があるといいます。
つまり根本的な治療にはなっていないのです。
不眠症や無呼吸症候群を治すためには、信頼できるクリニックや病院で診察してもらい、薬に頼らない治療法を教えてもらうことが大事です。
睡眠障害とは、睡眠の量・質に何らかの問題がある状態のこと。生活習慣や環境、精神的・身体的な障害からくるもの、薬物によって誘発されるものなど、原因はさまざまです。
睡眠障害=不眠というイメージを抱きがちですが、眠れなくなるだけが睡眠障害ではありません。他にも、日中激しい睡魔に襲われる・睡眠中に起きる病的な運動・睡眠リズムの乱れなどが挙げられます。同じ症状でも人によって原因が異なるため、適切な診断と治療が必要となるのです。
睡眠障害は本人が辛いだけでなく、日常生活や社会生活にまで支障を及ぼすことがあります。集中力や記憶力の低下による事故、仕事でのミス、成績の低下などに繋がることも・・・。
また、未治療のまま長期間放置すると生活習慣病や精神疾患(うつ病など)になりやすくなるため、早めの検査・治療が必要です。
睡眠障害の種類は数多く、「睡眠障害国際分類」によると88種類もの症状が取り上げられています。ここでは、代表的な症状について解説していきます。
なかなか寝つくことができなかったり、睡眠の質が著しく悪化している症状を指します。不眠症には、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害の4タイプがあり、複数のタイプが同時に現れることもあります。
症状として挙げられるのは、睡眠時間や質の低下による倦怠感・日中の眠気・集中力の低下・疲労など。日本では20~30歳代に始まり年齢とともに増加。男性より女性に多く見られ、約5人に1人が不眠で悩んでいると言われています。
睡眠中に異常な呼吸を示す障害のことで、代表的なものは睡眠時無呼吸症候群(SAS)。主な症状としては、気道の閉塞による大きないびき・無呼吸・睡眠時の窒息感・夜間頻尿・日中の眠気・起床時の倦怠感や頭痛などが挙げられます。
高血圧・脳卒中・心疾患など生活習慣病の引き金となり、放っておくと生命の危険性が高まるので注意が必要です。
睡眠をとっているにも関わらず、日中に激しい眠気に繰り返し襲われ、実際に眠ってしまうなどの状態が長期間続くこと。居眠りは30分以内と短いことが多く、覚醒すると一時的に気分はスッキリします。
また、笑う・怒るなどの行動を取ると急に身体の力が抜け、ひどい場合はその場に座り込んでしまうことも。10歳代で発症することが多く、女性よりも男性の方が割合が高いとされています。
ここ10年ほどの間に急増している睡眠障害。厚生労働省の調査によると、成人の5人に1人(1,500~2,000万人)が何らかの睡眠障害に悩んでいるとのこと。その原因としては、24時間社会(コンビニやファミレスなどの増加)・ライフスタイルの多様化・高齢化・ストレスの増加などが挙げられます。
睡眠障害によって生活リズムが乱れると、日中の眠気や倦怠感に襲われる可能性が増加。仕事や運転などにも支障が出て、労働災害や交通事故へのリスクが高まります。
また、睡眠時間は寿命にも影響があると言われており、十分な睡眠時間を確保できないと死亡リスクが高まるとも言われているのです。
健康的な生活は、健康的な睡眠から。「たかが睡眠」とあなどらず、質のよい睡眠を心がけましょう。
睡眠時間が不規則になると、いわゆる体内時計が狂い、睡眠障害に近い状態となり体を壊しやすくなります。
私たちにとって睡眠とは、何百万年も人類が受け継いできた遺伝子レベルでの基礎システム。これに抗うことは、すなわち様々な病気の遠因を作るようなものでもあります。
睡眠時間が不規則になりがちな仕事としては、看護師やガードマン、コンビニ従業員などが挙げられます。また、世界を相手に24時間取引をしている会社も多く存在します。
厚生労働省の発表では、22:00~5:00までの間に仕事をしている人は、労働者全体の17.7%にものぼるとされています。
多くの業界で夜勤や交代勤務という制度を採用せざるを得ない昨今、制度自体の可否を議論するよりも、まずは体への影響を最小限にする対策を議論するほうが目先は有益です。
睡眠が不規則になりがちな職種の業界には、日勤や夜勤などのローテーションシステムが採用されています。
ローテーションには、大きく分けて「正循環」と「逆循環」と呼ばれる2つのシステムがあります。結論から言うと、「正循環」のほうが、「逆循環」に比べると体への影響は少ないとされます。
「正循環」とは、日勤、準夜勤、深夜勤…の順で、徐々に勤務時間が遅くなっているシステム。「逆循環」とは、深夜勤、準夜勤、日勤…の順で、徐々に勤務時間が早くなっていくシステム。一見、似たようにも思える両システムですが、人間の体内時計は24時間より少し長いため、勤務時間が徐々に遅くなっていく「正循環」のほうが無理は少ないとされています。
また、ローテーションのサイクルがどの程度のスピードでめぐってくるかも大事なポイント。今日は日勤、明日は準夜勤、明後日は深夜勤…といった早いスピードでのサイクルよりも、今週は日勤、来週は準夜勤、再来週は深夜勤といった遅いスピードでのサイクルのほうが、体への負担が少ないとされています。
睡眠が不規則にならざるを得ない職種の人は、仮眠を上手に利用しましょう。
まず、夜勤の直前には1時間前後の仮眠をとります。これだけでも、夜勤中の目覚めは格段に良くなるでしょう。
さらに、できれば夜勤中にも仮眠をとりたいところ。複数の従業員が夜間勤務をしているならば、順番に仮眠をとれないかどうか検討してみましょう。
夜勤の翌日が日勤の場合には、夜勤を終えた午前中に3~4時間ほど仮眠をとり、同じ日の夜には普段より少し早めに寝ます。すると、翌日の日勤時には体調が整っているはずです。
夜勤中に仮眠がとれない職務事情がある場合、あるいは、一人夜勤の場合は、頑張って起きているしか方法がありません。
以下、医学的に効果が実証されている「眠気覚まし」の方法を列挙します。
一人で腕相撲をする、拳を握りしめる、などのように、関節を動かさずに筋肉だけに力を入れること(アイソメトリックス)で交感神経が刺激されて脳が覚醒します。
また、腹式呼吸をする、歌う、歩く、噛む、などといった行為により、脳の覚醒神経であるセロトニンが活発化します。
照明を明るくすることでメラトニン(睡眠を促すホルモン)が減少し、眠気が和らぎます。
ほかにも、従来から広く行われている「カフェインの摂取」や「冷水での洗顔」なども脳の覚醒に有効です。