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十分な睡眠時間を確保しているはずなのに、日中に眠くなってしまう過眠症の原因の1つとして、睡眠時無呼吸症候群が挙げられます。日中の眠気は様々な病気や事故のリスクを高めるため、無呼吸症候群対策によって過眠症へ備えていくことは、健康や生活の質を維持する上で大切です。
日中に眠くなってしまう原因として、睡眠不足と過眠症が考えられますが、両者は根本的に異なります。
睡眠不足は、文字通り睡眠時間が足りないことや睡眠の質が低いことによって、脳や体が充分に回復できていないことが原因と考えられています。しかし過眠症は、自分ではきちんと睡眠時間を確保しているはずにも関わらず、日中の眠気を抑えられないという、睡眠障害の1種です。
過眠症の原因には複数のものが考えられますが、いずれにしても日中に強い眠気を感じることで、様々な事故のリスクが上昇します。また、過眠症の原因によっては脳障害を伴っていたり、心疾患のリスクを上げたりする可能性も示唆されています。
自覚している寝不足の場合、適切な睡眠時間を確保することで睡眠不足を解消できる可能性があるでしょう。しかし自覚のない睡眠不足や過眠症では、根本的な原因を確かめて適切な対策を行うことが欠かせません。
自分ではきちんと睡眠時間を確保しているつもりなのに、日中の眠気を抑えられない場合、そもそも睡眠の質がきちんと保たれておらず、実質的な睡眠不足に陥っているケースも珍しくありません。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質を著しく低下させて、慢性的な睡眠不足状態につながってしまうため、日中の眠気を誘発してしまう原因となります。
肥満は睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因の1つです。そのため、肥満によって睡眠時無呼吸症候群を発症し、結果的に日中の眠気が引き起こされることも少なくありません。
鉄分不足によって、無意識に手足が動いてしまう「周期性四肢運動障害」が引き起こされる場合があります。また、周期性四肢運動障害はむずむず脚症候群を合併することもあります。
四肢運動障害やむずむず脚症候群によってリラックスして眠れなくなったり、睡眠の質が低下してしまったりすると、慢性的な睡眠不足を招いてしまうため、鉄分不足は日中の眠気を招く原因の1つといえるでしょう。
花粉症や皮膚炎の薬として服用する抗アレルギー薬には、アレルギー症状の原因となるヒスタミンの働きを抑える、抗ヒスタミン薬や抗ヒスタミン作用のあるものが一般的です。
一方、ヒスタミンには脳を覚醒させて眠気を抑制する効果があり、抗ヒスタミン作用によってヒスタミンが減ることで、間接的に眠気が誘発されるという副作用が発生します。
ただし、現在は眠くなりにくい抗アレルギー薬も販売されているため、服用するタイミングや必要に応じて、適切に使い分けることが肝要です。
上記の他にも、脳の中枢神経の障害による「中枢性過眠症(ナルコレプシーなど)」が原因となっているケースもあります。中枢神経障害に伴う過眠症は、発症メカニズムが解明されておらず、予防や治療が難しいこともありますが、だからこそ医師の診察を受けることが不可欠です。
アメリカ・ペンシルベニア大学の研究チームによって、睡眠時無呼吸症候群による日中の眠気が特に強い人では、心筋梗塞などの心不全リスクが明らかに上昇するという研究結果が報告されました。また、無呼吸症候群による日中の強い眠気は、脳卒中などの発症リスクを上げることも同研究で示唆されています。※
※参考文献
寝不足を自覚していない人が日中に強い眠気を感じてしまう場合、解消にはまず根本的な原因を探る必要があります。そのため、まずは医師の診察や検査によって、原因を確かめることが望ましいでしょう。
日中の眠気の原因が、睡眠時無呼吸症候群による慢性的な睡眠障害である場合、睡眠時無呼吸症候群を改善することで睡眠の質が向上し、過眠症が解消することも期待できます。
睡眠時無呼吸症候群の原因として、肥満や生活習慣の乱れなどが挙げられますが、肥満の解消は一朝一夕にできるものではありません。
しかし、適切ないびき治療を行うことで、睡眠時無呼吸症候群が改善され、結果的に日中の眠気も解消できる可能性は充分にあります。
いびき対策や睡眠時無呼吸症候群の治療は、本人だけでなく、周囲の人の睡眠を守るためにも重要です。
近くで寝ている人のいびきがひどいせいで眠れなくなり、睡眠不足に悩まされている人も少なくありません。そのため、いびき対策は本人を含めた周囲の人全員にとって、効果的に睡眠の質を高める方法といえるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の治療法として、専用の器具を使ったCPAP治療が有効ですが、まずはいびき改善で得られる効果を体感する手段として、様々な市販のいびき対策グッズで試してみることも有効です。
市販のいびき対策グッズは、睡眠時無呼吸症候群の根本治療にはなりませんが、いびきを解消することでどれくらいの効果があるのか、気軽に確認する手段の1つとして便利です。