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このページでは、睡眠時無呼吸症候群患者が引き起こした大事故の情報をまとめています。
何らかの理由で上気道が塞がれ、睡眠時の呼吸が不安定になってしまう「睡眠時無呼吸症候群」。熟睡が妨げられるため、症状として「日中の強い眠気」が引き起こされます。
国土交通省が発表した内容によると、無呼吸症候群患者が事故を引き起こす可能性は、一般人に比べ2.4倍も高いということ。また暑い夏の日中に、無呼吸症候群患者が引き起こす交通事故が急増しているというデータもあります。
「大したことはないだろう」とタカを括り、真剣な対応を怠った結果として、多くの人を巻き込む大事故が発生した事例があるので、要注意です。以下に紹介していきましょう。
2018年10月28日の夜9時15分、神奈川県中央交通の路線バスが乗用車に追突し、高校生だったバスの乗客1名が死亡、6名が重軽傷を負う事故が発生しました。追突された乗用車を運転する男性は軽傷でした。
事故が起こったのは、バスが始発の横浜駅東口を発車してからわずか5分後の出来事だったそうです。
事故を起こした路線バスの男性運転手(50歳)は、出発直後の運転中に、貧血のような状態を感じて意識がもうろうとしていたと説明しています。また、この運転手は2017年6月に睡眠時無呼吸症候群と判断されていましたが、医師の診断によって、就業可能だと判断されていました。
運転手を続けながら、月1回の通院を行っていたそうです。法令上、睡眠時無呼吸症候群と診断されても、安全に支障がなければ運転業務を続けることができます。
運転手の男性は自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で逮捕(間もなく釈放)。勤務先の神奈川中央交通には家宅捜索が入り、原因の究明を進めています。
2012年4月に、群馬県藤岡市内の関越自動車道上り線で、高速ツアーバスが路外へ逸脱。乗客7名が死亡し、38名が重軽傷を負う事故に発展しました。
原因は、ドライバーの居眠り運転。裁判では弁護側が「ドライバーは無呼吸症候群患者で、突発的な眠気に襲われた」と主張しましたが、検察側が事故数十分前からの運転異常を指摘し、裁判所は懲役9年6ヶ月の実刑と、罰金200万円を申し渡しました。
2017年の8月に、トラックがマイクロバスを追突して、バス運転手と1名の乗客が死亡する事故が発生しました。
こちらも原因は、トラックドライバーの居眠り運転。ドライバーは事故の数年前に睡眠時無呼吸症候群という診療結果を受けていたにも関わらず「器具で却って眠れなくなった」という理由から、治療を中断。結果として大事故を引き起こしてしまったのです。
現在も係争中ですが、ドライバーには懲役4年の実刑判決が下されています。また遺族はドライバーだけでなくバス会社の責任も追及しており、損害賠償請求額は約1億円に及んでいます。
2012年の7月、渋滞している首都高速湾岸線の最後尾を走行中のワゴン車に、自動車運搬用のキャリアカーが追突。ワゴン車は前方を走っていた大型トレーラーに激突し、さらにキャリアカーに挟まれるかたちとなり、大破しました。
ワゴン車に乗っていたのは東京税関の職員で、4名が死亡、2名が重傷という大事故になっています。
原因は70代のキャリアカー運転手の居眠り。彼は事故後に無呼吸症候群患者と診断されましたが、人命を奪った責任は重く、懲役5年半の実刑判決が下っています。