【医師監修】いびきの対策法について
歯学博士に聞いてみました。

どちらも気道が狭くなることが原因のため、いびきと睡眠時無呼吸症候群は密接な関係にあります

では、いびきを自然に止めるには、どうすればいいのでしょうか。日本大学松戸歯学部付属病院いびき外来外来長の鈴木浩司先生にお話を伺いました。

いびきを止めたいなら、
鼻呼吸をしなさい

いびきをかく原因のひとつが、口呼吸です。
鼻呼吸ではなく、口呼吸により喉が腫れ、いびきが発生します。
開口するだけでも咽頭部が狭くなりますが、口呼吸により喉が腫れ、より気道が狭くなります。
その結果、いびきや無呼吸が発生します。
また、口呼吸は口腔内の乾燥による口臭や歯周病、自律神経の乱れによって起こる胃炎、精神面において不安、抑うつなど、体のさまざまな不調とつながっています。
いびき対策だけでなく、健康的な暮らしのためにも、鼻呼吸を習慣づけるトレーニングをしましょう。

鈴木浩司(すずき ひろし)氏

日本大学松戸歯学部 口腔健康科学講座 顎口腔機能治療学分野
日本大学松戸歯学部付属病院 いびき外来 外来長,スポーツ健康歯科医長

1993年日本大学松戸歯学部卒業、2006年より同学部顎口腔機能治療学講座 専任講師を務める。
【所属学会】日本睡眠歯科医学会(評議員・認定医),日本睡眠学会,日本補綴歯科学会(代議員・専門医・指導医),日本スポーツ歯科医学会(代議員・認定医),その他
【委嘱等】(公財)JOC 強化委員(医・科学スタッフ),(公財)日本スポーツ協会公認スポーツデンティスト,(公財)全日本空手道連盟強化委員・医科学委員

日大松戸歯学部 公式サイト

鼻呼吸を促す4種類のグッズを比較実験
「いびき時間」を調査しました。

いびき対策を行うグッズは、大きく分けて鼻に貼る「ノーズテープ」型、口に貼る「口テープ」型、鼻の中に挿し込む「鼻腔拡張(ノーズコーン)」型、歯にはめて使用する「マウスピース」型があります。

それぞれの商品を実際に使ってみて、スマートフォンのアプリで「いびきの時間」を測る実験を行ってみたところ、結果は以下のようになりました。

ブリーズライト商品画像
3か月続けた場合の価格
5,553円
※1箱(30枚入)1,850円×3箱分の料金

ノーズテープが向いている人

鼻づまりによって、呼吸が口呼吸になってしまっている人

ノーズテープが向いていない人

鼻の皮膚を拡げるだけなので、鼻の軟骨が呼吸を妨げている人(鼻中隔湾曲症など)

いびきをかいていた時間
122分 → 20分
いびきカット率
83.6%カット
ブリーズライト計測結果
花仙ミニ商品画像
3か月続けた場合の価格
1,620円
※1箱あたりの料金

鼻腔拡張器具が向いている人

鼻の粘膜を押し下げる筋肉を鍛えて、使用を止めた後でも継続的に鼻呼吸を維持したい人

鼻腔拡張器具が向いていない人

鼻の粘膜が弱く、ちょっとしたことですぐ傷がつく人

いびきをかいていた時間
122分 → 1分
いびきカット率
99.2%カット
花仙ミニの計測結果
ナイトミン鼻呼吸テープ商品画像
3か月続けた場合の価格
5,148円
※1箱(15枚入)858円×6箱分の料金

ノーズテープが向いている人

無意識に口がポッカリ空いてしまう人

ノーズテープが向いている人

鼻づまりがあり、口を閉じた状態での呼吸が不可能な人。

いびきをかいていた時間
122分 → 6分
いびきカット率
95.1%カット
ナイトミンの計測結果
いびきくん商品画像
3か月続けた場合の価格
2,310円
※1箱あたりの料金

マウスピースが向いている人

歯ぎしりにも悩んでいる人

マウスピースが向いていない人

口の中の異物感が続くため、気になることがあるとなかなか寝付けない人

いびきをかいていた時間
122分 → 5分
いびきカット率
95.9%カット
いびきくんの計測結果

いびきは睡眠時無呼吸症候群の
バロメーター

いびきをかいて眠る人のイメージ

いびきをかいている状態とは、気道(呼吸をするための体内の器官)が狭くなり、空気が通りにくくなっている状態です。

ビル風をイメージしてください。そこを通る風は強くなり、ビルの間に垂れ下がったたれ幕は音を立ててはためきます。その音こそが、人間にとってのいびきなのです。気道が狭くなる原因は、肥満や筋力の低下、舌の付け根が落ちている、口呼吸によって起こる喉の腫れとの悪循環があります。吸い込む空気が足りないと、脳から空気をもっと強く吸い込む指令が届きます。これによって、いびきが大きくなります。

それだけではなく、脳と体両方にストレスを与えているのです。

いびきを知ってしっかり止める!
いびき対策の豆知識

睡眠時無呼吸症候群の基礎知識

睡眠中に何度も睡眠時無呼吸状態になるこの病気は、深い眠りを妨げ睡眠の質を低下させます。

集中力や注意力がダウンして交通事故・労働災害が起きやすくなるほか、高血圧・脳卒中など生活習慣病の原因ともなり得るのです。当サイトでは、そんな睡眠時無呼吸症候群の原因を知り、軽減させるためのアドバイスをまとめています。新しい治療法についても、ぜひチェックしてくださいね。

睡眠時無呼吸症候群の対策法とは

現状で、睡眠時無呼吸症候群を完全に治すことができる治療はありません。

病院の指示で行うCPAP(シーパップ)でも、使用を止めてしまうとすぐに無呼吸の症状が表れてしまいます。

CPAPは使用できるようになるまでに検査や入院を必要とします。

どれも根治にはつながりませんが、睡眠時無呼吸症候群の原因を断てば症状を抑えることは可能です。手術のような大がかりなものから日常の些細な心がけまで、対策法を詳しく紹介します。

手術による治療

睡眠時無呼吸症候群で外科手術が選択されるのは、原因の症状が明らかな場合。
気道を閉塞させている原因となっている部分を切除した上、咽頭部(喉)を拡げ、呼吸がスムーズに行えることを目的とした手術です。適用されるのは咽頭扁桃と呼ばれるリンパ組織(アデノイド)が肥大して気道を塞いだ「アデノイド肥大」と、のどの入口にある口蓋扁桃が大きく肥大している「扁桃肥大」。
これらが原因となる無呼吸症候群は外科手術でないと改善は難しいですが、それ以外の場合は効果がないため、専門医からの慎重な判断が必要です。
口蓋垂(のどちんこ)の付近を切除するUPPPと呼ばれる手術もあります。費用はある耳鼻咽喉科クリニックを例にとると、3割の保険負担で29,100円ほどだそうです。

体質改善

肥満は生活習慣病の遠因となるため、注意が喚起されています。
また睡眠時無呼吸症候群の直接的な原因となってしまうことも。首の周りにたっぷりと付いた脂肪が、正常な呼吸を妨害しているというケースも多いのです。気道の圧迫に関わる首の周りの脂肪は一朝一夕に落とせません。
睡眠時無呼吸症候群対策として、専用の運動やストレッチを習得する必要がありそうです。またそれ以外にも「鼻呼吸の習慣をつける」という簡単な体質改善法もあります。

マウスピース治療

就寝時に口腔内装具(マウスピース)を装着し、睡眠時に無呼吸状態に陥る回数を減らしていく治療法です。マウスピースによって、下顎を数ミリほど前方に移動させて固定する「下顎前方整位型マウスピース」が一般的で、下顎をずらすことで気道が拡大され、いびきや睡眠中の無呼吸を防ぐことができます。医師によってマウスピース治療が適用されるのは、検査によって軽度~中軽度の睡眠時無呼吸症だと判断された場合のみです。重度(睡眠時の無呼吸・低呼吸の回数を表すAHI値が30以上)の場合は適用できません。また、歯並びをずらす形になるため、装着時の違和感が大きいデメリットを持っています。

CPAP療法

CPAPとは1981年にシドニー大学で開発された、睡眠時無呼吸症候群の治療マシンの名称。
中等度~重症の睡眠時無呼吸症候群の治療なら保険適用で使用でき、ひと月5,000円程度かかります。鼻に装着したマスク・エアチューブを介してマシンから空気を気道へ送り込むため、使用開始日からスムーズに鼻呼吸をすることが可能となります。人によっては「使用時に口の乾きを覚える」、「装着時に違和感を強く感じる」こともあるようです。

ナステントで対策

ナステントとは、鼻から挿入するチューブ状の医療機器で、日本のセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズという会社が販売しています。
睡眠時の呼吸を整えて、睡眠時無呼吸症候群の改善や寝苦しさ、睡眠中の頻繁な覚醒を予防する効果があります。鼻から機器を挿入するといっても、チューブにはハイドロジェルという潤滑油が使われるなど、腔内への負担を最小限に抑える工夫がされているので、ほとんど違和感なく使用できます。
ナステントは全国150以上の医療機関で取り扱われており、無呼吸症候群やいびきへの改善効果は広く認められています。

睡眠負債を貯めない!
良質な睡眠のコツ

良質な睡眠イメージ

睡眠時間は、人間の一生の中で3分の1もの割合を占めるそうです。より良い生命活動のため、睡眠がいかに重要かわかりますね。

実際、充分な睡眠は疲労を取り除くだけでなく、ホルモンのスムーズな分泌や免疫力の増強を促すなどの働きがあり、健康な毎日のために欠かせないものとなっています。しかしベッドの中にいる時間が長くても、睡眠の質が低いと、思うような効果を享受できなくなります。

睡眠に関する問題を抱えている人の数は多く「日本人の5人に1人は、何らかの睡眠障害を抱えている」とも言われているのです。

良質な睡眠のコツを探り、より良い生活のために役立てていきましょう!

参考文献